練習のススメ その3
  持久力をつけるべし

 おおよそプロとよばれる人達には、普通のことが安定してできるというのが、とても大事な条件の1つになるわけですが、それには演奏上の基礎体力が必要になりますね
 では、普段の練習で持久力を効果的につける方法を、いくつか紹介したいと思います
 まず、比較的多いパターンとして、何か練習の短いフレーズがあると(たとえばここでは、弾き語りのアルペジオパターンとしましょう)1回2回とそのパターンが弾けると、これは出来たと思って、すぐに演奏をストップしてしまう
 これは、そのフレーズを1,2回演奏する能力の確認になっても、実際に人前で演奏するときの本当の演奏能力の確認にはなっていません
 実際に曲を演奏することを考えて見ますと、一般的な歌ものの曲の長さは3−5分位だと思いますが、少なくともその3−5分の時間は安定して同じことが出来て、初めてそのフレーズが弾けたと思ってもらったほうが良いと思います
 で、より安定させようと思ったら、少なくとも曲の倍ぐらいの長さは、同じことを、同じように弾き続ける事が大事だと思いますね。そのために何を使うかというと、キッチンタイマーの様な時間が計れるもので、あらかじめ時間を設定して10分ならその時間、何があっても(疲れて腕が痛くなろうが、汗が出ようが、どこかかゆくなろうが)決して、演奏をストップしない。
 当然このときも、ガイドリズムや録音機器などを使うとより効果的です
 実際に、この練習を10分x3セットぐらい何日か続けてやると、普通に曲を演奏するときほとんど疲れなくなったり、普段弾いていた曲の演奏が、ものすごく安定して驚くと思います
 
 持久力をつけるべし その2
 
 生徒さんの、困りごとの1つに、セーハ(人差し指で弦全体をカポタストのように密着して押さえること、バレーとも言う)があるのですが、音の確認のときは力を入れて全体的に音がきれいに出ていても、音が出たとたんに気が抜けて、1小節の終わりごろにはもう音がビビッテいるなんていう人がいますね。これは間違いなく持久力不足。
 じっさいには、ボサノバのようなセーハだらけの曲を、なにげに練習していれば自然に持久力は付きますが、普段の生活の中で何か良い方法は?というと、よく生徒さんにも話すのですが、何か物を持つときに左手の人差し指と親指でカポのようなかたちで持つのを繰り返していると、自然に持久力が付きます。ぶ厚目の資料とか、かばんとか、重めのポーチとか電話帳とか何でも良いのですが、くれぐれも人差し指は、付け根から伸ばした状態で、中、薬、小指は人差し指から離した状態で、サポートに使わないこと、時間がたって(個人差はありますが)親指の付け根当たりの筋肉が痛くなってくれば正常だと思います
 特に、通勤に電車を使う人や外回りでよく歩く人はものすごくラッキーです。ほとんどその時間を特別に練習しなくても、セーハの練習が出来ますので。
 これは、ピックがくるくる回ってしょうがない人にもかなり効果的で、右手でピックを持つように前述のものを持って生活の中で利用してやると、ピックを持つ指がかなり安定してきますよ
 私も、大学当時の通学で右手も左手もこの方法で重めのかばんで鍛えていました。皆さんも一度、試してみてください

 持久力をつけるべし その3

 セーハに限らず、チョーキングなどなど、ギターの場合は、音を出すのに左手で力を入れて弦を押さえて音を出すわけですが、ギターの構造上ブリッジとナットのギターの弦を支えている部分のそばが一番弦が動きにくく出来ています。ちょうど、ゴムを両手で持って振動を加えてやると真ん中の部分が一番振り幅が大きいのが視覚的にもわかると思いますが、それと同じで、ギターの弦の真ん中に当たる12フレットの辺りが一番弦が動きやすく、チョーキングなどするのに力が少しで済みます。
 この事を考えると、セーハコードのFを1フレットで押さえるよりは、Fのフォームで12フレットに近い位置で押さえてやった方が力が少しで済みます。実際1フレットのFが音が出にくい人でも、5フレットでFのフォームのAのコード(ギターの場合同じ形で平行移動するとコードネームがそのまま移動した場所によって変わります)だとキレイに音が出るなんて事は良くある事で、少し負荷の少ないところで持久力をつけておいて、それから実際にやろうとしている事柄に取り掛かるのも1つの手です。たとえば、チューニングを半音下げておいて力が少しで済む状態でフォームの練習しておいてから難しいコードを押さえるとか、カポを使って弦高を下げた上体でコード練習するとか、最初からガチで勝負してへこたれるよりは、少し自信と、持久力をつけた状態から攻めてもOKだと思います。
 余談ですが、ブルーグラスとかアメリカのフォーク系でアコギを使う人の中には、太い音がほしいためにへヴィーゲージを一音下げチューニングで張って、カポ2フレットでレギュラーチューニングとして使う人もいます。
 エレキでチョーキングが上がりきらないというような人は、アコギを使って1弦12フレットの一音半チョーキングや、2弦10フレットの一音半チョーキングの練習を毎日なにげにしていると、エレキに持ち替えたときに、思わず笑ってしまうぐらいチョーキングが楽になります。一度お試しください。